企業変革を成功させるグッド・ニュース

 多くの経営幹部が変革を試みるが、そのほとんどが成功しない。しかも、変革プログラムを何とかやりおおせた幹部の多くは「もう二度とやりたくない」と思っている。

 そのようなためらいを非難できる者は少ない。変化を嫌う組織を変革させる過程はさまざまな苦痛を伴ううえに、それをめぐる実務の数々はきわめて複雑である。それゆえ、成功率はいたって低い。

 しかしながら、多くの組織が変革を余儀なくされ、生き残るには根本から変わらざるをえない。古い書物に謳われているからというわけでなく、それは現実なのだ。

 とはいえ、悪いニュースばかりではない。それは組織変革が、一般に考えられているほどには難易度が高いわけではないということだ。無論困難であることに変わらないが、けっして不可能ではなく、システム化することができるのである。

 私は研究者として、またコンサルタントとして、15年にわたって、多くの企業変革プログラムに関わってきた。その経験を通して、成功率の低さは、所期の構想に起因するというより、その実行方法に起因すると考えるようになった。

 多くの失敗事例を見ると、さまざまな社内事情がきわめて複雑に入り組んでおり、変革プログラムの担当者の処理能力をはるかに超えている。どうやらここに原因があるようだ。そして、失敗に終わった変革プログラムには一つの共通点がある。キャンペーン(全社運動)としてではなく、単なる一プロジェクトとして運営されていたということである。

 一方、成功した変革に特徴的なのは、プログラムを実施するに当たって、相互に関連する3つのキャンペーンが採用されていた。

(1)社内政治キャンペーン