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顧客満足度が投資指標となる意味
顧客第一主義を社是社訓に掲げる企業は多い。今後も顧客満足の重要性が否定されることはないが、いまも昔も、なぜかお題目に貶められがちである。事実、顧客満足度の調査結果が参考資料として扱われたり、不況期(あるいは好況期)ともなると優先順位がグンと下がったりしてしまう。顧客は利益の源泉であり、顧客なくして成長はありえないにもかかわらず、である。
かねてより、高い顧客満足は高い従業員満足を、さらには株主満足を生み出すといわれてきた。しかし、その相関性は定量的に証明されることはなかった。もしこれが可能となれば、顧客満足と株主価値を良循環させるマネジメント・モデルの骨格もより具体化するに違いない。しかもこれが第三者機関の手によって、広く公開され、投資家や株主の目に触れるようになれば、より効果的である
そこで1994年、ミシガン大学国立品質研究センターが中心となり、「全米顧客満足度指数」(ACSI:American Customer Satisfaction Index)が考案された。
これは四半期ごとに、35業種200社以上が抱える顧客に加え、数千件以上の消費者面接調査から、顧客満足度を測定したものである。各企業は100段階で評価され、顧客満足度が高くなるほどACSIのポイントが高くなるように設計されている。
ACSIと株価、ダウ平均との間には相関性が存在しており、それゆえウォール街は四半期ごとにACSIを必ずチェックして企業の実力を見定めるようになった。いまや、高い顧客満足度を示す企業は優良投資先に位置づけられている。
このACSIを考案したのが、クレズ・フォーネル教授である。
経済の発展から取り残された顧客の視点
DHBR(色文字):顧客満足の重要性はだれもが認めるところです。実際、各社各様に顧客満足度調査を実施し、定点観測を続けているばかりか、ワン・トゥ・ワン・マーケティングやCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)といった活動も盛んです。
しかし、あまりに普遍性の高い経営課題だからでしょうか、企業業績が下がったり、不況期が訪れたりすると、目先のことが優先され、つい脇に置かれてしまう傾向にあります。