グローバリゼーションの未来を楽観できる15の理由
Illustration by Davide Comai
サマリー:2025年のドナルド・トランプ氏の米大統領復帰に伴う貿易・外交政策の混乱により、グローバリゼーション終焉の予測が加速している。米国の関税高騰や地政学的リスクから国際ビジネスの難度は増しているが、世界貿易の成長は依然として力強い。米国一国でグローバル化を逆行させるには限界があり、他国の自由貿易推進や技術革新も追い風となっている。本稿では、グローバリゼーションの未来を楽観視できる15の根拠を紹介する。

グローバリゼーションの未来を悲観することはない

 2025年1月にドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスに復帰して始まった貿易と外交政策の混乱により、グローバリゼーションの終焉をめぐる予測と議論がますます激化している。

 たしかに、地政学的変化、貿易政策の記録的な不確実性、1930年代以来の水準まで高騰した米国の関税など、国際ビジネスはより難しいものになり、貿易はよりコストがかかるものになっている。しかし、グローバリゼーションが大きく逆行するかどうかは、依然として不透明だ。グローバリゼーションの未来について楽観視できる15の理由を考えていこう。

1. 2025年は世界貿易の成長が加速した

 2025年に世界の物品貿易が縮小するという当初の予測に反して、物品貿易量の増加は、コロナ禍後の回復期以降で最も速いペースに加速した。

 2025年の前半は、米国の買い手が関税引き上げを見越して物品の輸入が急増し、貿易量が一時的に増えた。しかし、この「前倒し需要」の波が終息した後も、貿易の伸びはプラスを維持した。その一因は、中国が東南アジア、アフリカ、欧州などへの輸出を急激に拡大し、米国向け輸出の急減を補って余りあるものだった。

 さらに、貿易の成長は、国際ビジネスの回復力を示す指標の一つにすぎない。M&Aトランザクションに占める越境取引の割合は従来の水準を維持しており、企業が投資を国際的な成長機会から国内向けに転換しているわけではないことを示唆している。

2. 関税引き上げは世界貿易の成長を鈍化させると見られるが、逆転させることはなさそうだ

 2025年10月のDHLグローバル・コネクテッドネス・トラッカー(筆者がDHLイニシアティブ・オン・グローバリゼーションのキャロライン R. バスティアンと共同執筆した)は、2025~2029年に世界の貿易量は年2.5%のペースで伸びると予測している。この数字は、米国が関税を引き上げる前に予測されていた3.1%から下方修正されている。貿易成長は2026年に減速した後、2027年には通常のペースに回復すると見込まれている。

 過去との比較は客観的な視点を維持するのに役立つ。2025~2029年に世界貿易量が年2.5%のペースで成長した場合、この期間の貿易成長率は直前の10年間(2015~2024年)の成長率(2.5%)と完全に一致する。

 米国の関税引き上げがあっても、世界貿易は、中期的にはビジネスリーダーが直近まで慣れ親しんできたものと非常に似たペースで成長する可能性が高い。

3. 米国は単独でグローバリゼーションを逆行させるほど貿易を行っていない

 2024年の世界の物品貿易において、米国は輸入の13%、輸出の9%を占めている。これは米国が世界最大の輸入国であり、輸出国としては中国に次ぐ第2位であることを意味する。

 一方で、これらの数字は、世界貿易の大部分が米国を介さずに行われていることも示している。それこそが、米国が新たに大規模な貿易障壁を発動しても、世界の貿易が妥当なペースで成長を続けられる主な理由の一つでもある。世界貿易に占める米国のシェアは、対外直接投資残高[FDIストック](23%:データは別表4を参照)、市場為替レートベースのGDP(26%)、株式時価総額(54%)など、世界経済のさまざまな指標におけるシェアに比べてはるかに小さい。