ZOZOと出前館はなぜ、同じプラットフォーム企業でも収益性が大きく異なるのか
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サマリー:プラットフォーム企業が収益を挙げるうえで、取引額からどれだけの手数料を取れるかは重要なポイントだ。この取り分は「テイクレート」と呼ばれ、取引総額に対する取り分が大きければ、売上は伸びやすい。しかし中には、高いテイクレートを得ているにもかかわらず赤字に苦しむ企業も存在する。同じプラットフォームでありながら、収益力に差が生まれるのはなぜなのか。本稿では、アパレルECのZOZOと、フードデリバリーの出前館という対照的な2社を取り上げ、損益計算書(PL)の構造からその理由を解き明かす。

テイクレートが高ければ営業利益率も高いのか

 前回は、代表的なプラットフォーム企業のテイクレートについて見てきました(図表1)。テイクレートが高ければ、それだけ多くの売上を得られるということがおわかりいただけたと思います。

図表1
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出所:ZOZO 2025年3月期有価証券報告書、Uber FY2024 Form10-K、クラウドワークス 2025年9月期有価証券報告書、出前館 2025年8月期有価証券報告書、タイミー 2024年10月期有価証券報告書、Airbnb FY2024 Form10-K、メルカリ 2025年6月期有価証券報告書、およびBASE 2024年12月期有価証券報告書より筆者作成。

  となると、「テイクレートが高ければ、それだけ営業利益率も高くなるはずだ」と思われるかもしれません。事業として健全な成長を実現するうえで、営業利益率の高さは非常に重要なポイントですから、これは鋭い着眼点です。以降でそれを確かめてみましょう。

 図表2は、代表的なプラットフォーム企業の営業利益率とテイクレートを示したグラフです。

図表2
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出所:ZOZO 2025年3月期有価証券報告書、Airbnb FY2024 Form10-K、タイミー 2024年10月期有価証券報告書、メルカリ 2025年6月期有価証券報告書、クラウドワークス 2025年9月期有価証券報告書、Uber FY2024 Form10-K、BASE 2024年12月期有価証券報告書、および出前館 2025年8月期有価証券報告書より筆者作成。

  図表2の中でテイクレートが最も高いZOZOは、営業利益率でも30%を超える高い利益率を実現できています。しかし、30%を超える営業利益率を実現できているのはZOZOのみで、出前館に至っては、テイクレートは24%と比較的高いにもかかわらず営業利益率は−12%と、赤字になってしまっています。

 プラットフォームビジネスと聞くと、「需要と供給をマッチングさせる場をうまくつくれれば、取引量が増えるほど儲けられる」という漠然としたイメージを抱いている人も少なくないでしょう。もちろん高い利益率を実現しているプラットフォーム企業もありますが、そうでないプラットフォーム企業も存在するのが実情なのです。

 では、プラットフォーム企業である点は同じなのに、なぜ利益率にこれほど差が出てしまうのでしょうか。以下では、ZOZOと出前館の損益計算書(PL)構造を比較しながら、その謎解きをしていくことにしましょう。

出前館は飲食店プラットフォームの先駆け

 まずは、あらためてZOZOと出前館のビジネスの内容について確認しておきましょう。

 ZOZOは前回見てきた通り、多くのアパレルブランドから委託販売を受けるとともに、在庫管理、梱包、出荷等を行うことで手数料を得るビジネスモデルです。ZOZOのビジネス全体の平均テイクレートは35%ですが、事業の中核を占める「受託販売」に限って言えば、テイクレートは30%前後です。