コラボレーション・ネットワークの4種類

 世界のどこから素晴らしいアイデアが誕生してきてもおかしくない時代である。しかもITのおかげで、そのようなアイデアを利用するためのコストは劇的に下がった。もはや自前主義のイノベーションに取り組むべきではないというのが、いまや常識である。

 幸いなことに、コラボレーションの相手もその方法も飛躍的に多様化している。一方、やっかいなことに、このように選択の幅が広がったおかげで、最善策を選ぶという古くて新しい課題はますます難しくなった。

 たとえば、ネットワーク・コミュニティに自社の知的財産を公開し、その共有化を図ることは得策といえるのだろうか。また、コラボレーションする相手は、慎重に取捨選択した少数のパートナーに限るべきか。それとも、集合知を活用すべきなのか。

 クラウドソーシング[注]などのオープン・コラボレーションのモデルが脚光を浴びているとはいえ、社外の力を活用するうえで、決め手といえる方法があるわけではない。

 コラボレーション方式が異なれば、戦略上のトレード・オフも異なる。不適切な方式を選んだ場合、技術や設計、あるいは製品やサービスをめぐる熾烈な開発競争に後れを取ることにもなりかねない。

 コラボレーション・ネットワークの構造や運営方針という、我々が言うところの「コラボレーティブ・アーキテクチャー」を検討することもなく、いきなり他社と協力関係に踏み出してしまう企業があまりにも多い。

 そこで我々は、どの類のコラボレーションを採用すべきかを判断する一助となる単純明快なフレームワークを開発した。これは、20年間にわたって、我々がこの分野で続けてきた調査やコンサルティングの成果であり、次の2つの問いに焦点を当てている。