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提供するサービスは同じでも、ビジネスモデルは異なる
「世界最大のレストランチェーン」といえばどこでしょうか。
答えは、世界119の国と地域に4万店舗以上を展開するマクドナルドです。磨き抜かれたオペレーションの標準化により、世界中どこでも同水準の品質を利用できることから、「海外で食事に困った時にあの『ゴールデンアーチ』(黄色いMのロゴマーク)を見ると安心する」という方も少なくないのではないでしょうか。
マクドナルドは世界中にあるため、「ビッグマック指数」なるものまであります。これは、世界中のビッグマック1個の値段を比較することで各国の経済力や為替レートの妥当性を見るものですが、一企業の商品でこのような指標をつくってみようというアイデアが出てくること自体、マクドナルドという企業の存在の大きさを物語っています。
さて、このように世界で愛されているマクドナルドですが、各国により運営母体は異なります。本拠はもちろん米国のマクドナルドコーポレーション(以下「米国マクドナルド」)。そして日本では、日本マクドナルドホールディングス(以下「日本マクドナルドHD」)が運営しています。
両社の関係をざっくり言えば、世界中のマクドナルドのいわば「元締め」である米国マクドナルドがフランチャイザー(本部)の役割を果たし、日本マクドナルドHDは米国マクドナルドにロイヤルティーを支払うフランチャイジーという立場になります。
ですが両社の決算書を比較すると、面白い事実が浮かび上がってきます。フランチャイザーとフランチャイジーという違いもさることながら、それ以上に、両社ではビジネスモデルがまったく異なるのです。
そこで今回は、日本マクドナルドHDと米国マクドナルドのビジネスモデルがどのように異なっているのかを読み解きながら、この世界最大のレストランチェーンの強さの秘密について、財務の観点から考察していくことにしましょう。
日米でまったく違うPL構成
まずは日本マクドナルドHDと米国マクドナルドの損益計算書(PL)を比較してみましょう(図表1)。
出所:日本マクドナルドホールディングス 2024年12月期有価証券報告書、およびマクドナルドコーポレーション FY2024 Form10-Kより筆者作成。
この図を見て、真っ先に頭に浮かぶのは次のような疑問ではないでしょうか。
- なぜ日本マクドナルドHDの原価率はこれほど高いのか
- なぜ米国マクドナルドの営業利益率はこれほど高いのか
そこで本連載では今回と次回の2回にわたり、上記の疑問を追いかけていくことにします。これらの謎を解く過程で、日米のマクドナルドのビジネスモデルの違いも浮き彫りになるはずです。
店舗数3割の直営店が売上の7割を稼ぐ日本のマクドナルド
まずは第1の疑問、「なぜ日本マクドナルドHDの原価率はこれほど高いのか」について考えていきましょう。でもその前に、同社のアウトラインをざっと振り返っておきます。
日本マクドナルドHDの前身である日本マクドナルドは、藤田田氏により1971年に創業されました。藤田氏は1960年代に米国のマクドナルドを訪れ、調理の効率化、若者や家族層を中心とした高回転モデル、そして、それまで日本に見られた「外食=贅沢」という常識を覆す低価格戦略に感銘を受けたといいます。
その後、藤田氏は米国マクドナルドとの直接交渉の末に日本での独占フランチャイズ権を獲得。そのビジネスモデルは、端的に言えば「米国マクドナルドから得たフランチャイズの権利を使って、日本でマクドナルドを運営する」というものです。





