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「ブリキの木こり型組織」の限界
事業組織のメタファーといえば長らく機械だった。ほとんどの企業は機械と同じく、効率的で予測可能な結果を出し、リスクを最小化し、差異を排除するように設計されている。標準化、専門化、管理統制の上に成り立つこのモデルは数十年にわたって、確かな効率性を備える製品を開発し、提供する企業を支えてきた。それがいまもなお有効な場面も存在する。
しかし、このモデルが完成して以降、世の中は変わった。筆者らは数百社に及ぶ企業のCEOや経営幹部と対話し、協働する中で、多くの企業は『オズの魔法使い』に登場するブリキの木こりのようなものだと気づいた。
このキャラクターは堅苦しくぎこちない。動きや反応も鈍い。指示には従うものの、自主性を発揮することはまずなかった。筆者らが今日の組織を見ると、主人公のドロシーが出会った時の木こりと同じ状態だと感じることがあまりにも多い。芯までさびついていて、誰かが油を差してくれなければ再び動き出すことすらできない状態なのだ。
筆者らはこうした企業を「ブリキの木こり型組織」と呼んでいる。大量生産を基盤とし、プロセスを遵守し、トップダウン方式で計画を策定する時代に最も効果を発揮するよう設計された企業である。そのため今日のような、成功の足掛かりが適応と発見にあり、顧客、従業員、幅広い環境との間に信頼に基づいた真の関係を構築できるかどうかに成否がかかっている複雑な世界には、なかなか対応できない。
現在の仕事は商取引的な側面が薄れ、関係性が重視される側面が強まっている。顧客の選択肢は増え、従業員もまたしかりだ。彼らは管理されたいのではなく、意欲をかき立ててほしいと思っている。指示されたいのではなく、自分たちの声に耳を傾けてもらいたいのだ。
筆者らがブリキの木こり型組織の顧客やリーダーとともに仕事をして痛感するのは、事業運営のあり方が組織の足かせとなっていることを認識している人が多いことだ。彼らはそうした状況を打開するために、業務の近代化、デジタル技術の導入、アジリティの強化といった大規模な変革に乗り出してきた。
しかし、過去20年以上にわたってそうしたプロジェクトに数兆ドルが投じられてきたにもかかわらず、結果は芳しくない。3年後においても息の長い業績拡大を実現できた変革はわずか12%に留まる[注1]。
本稿では、これとは本質的にパラダイムの異なる「オクトパス組織」の必要性について論じる。この名称は、驚くほど適応力が高く、好奇心旺盛で知性豊かな海の生物タコに着想を得たものだ。
タコの脚は、一本一本がそれぞれ独立して思考し動くこともできれば、一糸乱れず動くこともできる。これは複雑な環境の中で成長し、絶え間ない変化にも対応できる企業を構築する際のモデルになる。オクトパス組織は従業員の知性を活用し、さまざまな取り組みを自然かつしなやかに集約する。わずかなサインを察知し、学習と軌道修正を速やかに重ねながら不確実な中を進んでいくのである。
オクトパス組織は何が違うのか
オクトパス組織が必要とされるのは、本質的なミスマッチが生じているからだ。



