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速さを重視することで大きな力を生み出し、巨大な組織を動かす
編集部(以下色文字):澤田さんは2018年6月、NTTグループの持株会社であるNTT株式会社の社長に就任すると、大胆な変革に着手されました。当時の業績は好調で、2018年3月期には3期連続となる過去最高益を記録しています。堅調といえる成長を遂げていた中、なぜ大規模な変化をもたらす必要があると考えたのでしょうか。
澤田(以下略):その大きな理由の一つとして、グローバルでの技術的な変化が激しかったことが挙げられます。グーグルやアマゾン・ドットコムといったハイパースケーラーが台頭する中、NTTは後塵を拝しつつあり、「私たちが世界と戦っていくためには、現状のやり方を変えなければならない」という意識を強く持っていました。
NTTは1997年に持株会社方式への分割が決まってから、グローバル展開ができるようになりました。しかし、だからといってNTTの名前が世界で知られたわけではありません。私は米国で働いていたこともあり、「日本国内だけ、あるいは組織の内側だけで、いったい何を議論しているのか」という不満を持ちながら、NTTも米国の先進企業のような組織になりたいという期待を抱き続けてもいました。
NTTが世界で勝負していくためには、同じグループの中で事業会社がばらばらに活動するような状態を解消し、グローバル事業で「One NTT」を実現する必要がありました。また、組織の枠組みを変えるだけでなく、アセットヘビーな状況から抜け出し、新規事業の立ち上げなども含む、事業ポートフォリオの再構成も必須でした。それ以外にも、我々が前進するために乗り越えるべき課題は山ほどあり、さまざまな側面から改革を進める必要がありました。
澤田さんは、NTTグループの課題をまとめた144個のメモを携え、社長就任のタイミングで、幹部に提示したそうですね[注1]。
私はエンジニアのラインにいたこともあり、副社長の時にCFOと兼務でCIOも担当していました。そこで、前任の社長に「NTTは業界全体として抱える問題に直面しているだけでなく、技術的にも行き詰まっているので、抜本改革を進めさせてほしい」と伝えたところ、賛同してもらえ、各事業会社のエンジニアリングラインから約30人を集めた改革チームを立ち上げました。
そこから、改革を全社に広げていくうちに足りない部分が目につき、最終的には144個の課題を挙げていました。その中には、不動産事業をどのように拡大するか、医療分野や農業分野にどうやって進出するか、安全保障をどう捉えるべきかなど、通信の領域に限らないものも多く含まれていました。
課題を提示するだけでなく、スピードを重視した解決を求めたという話もあります。
私はせっかちなので、どんどん解決したかったという性格的なものもありますが、NTTで課題解決を進めようとすると、余裕を持ったスケジュールが提示されるのが慣例で、そこは変えるべきだと考えていました。




