ではどうすればいいのでしょうか。答えは簡単、注意のフィルターを強化して、インプットする情報量を削減することです。アウトプットに直結した注意のフィルターを通じて情報とつき合う。フィルターを通過してこない情報は、仕事にとって当座は必要ないわけですからほっておけばよい。

 というと、「注意のフィルターが見つからない。どこに行けば手に入るのか」という人もいるのですが、あっさり言ってしまえば、そういう人は仕事ができない人ですから、もうどうにもなりません。そもそも仕事ができるということは、注意のフィルターの性能が優れているということです。そして情報量が多くなっていけばいくほど、注意のフィルターの性能は仕事の質に大きな影響を与えます。

 さらに単純に考えて、注意のフィルターに通す前に、情報のチャネルを意図的に遮断し、そもそも接触する情報量を減らすというのも有効です。具体的には、インターネットにアクセスする時間は朝だけにするとか、メールをチェックする時間を限定するとか、いくらでも方法はあると思います。アウトプット志向の情報とのつき合い方については、早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成さんの『プロの知的生産術』(PHPビジネス新書)が秀逸です。一読をお勧めします。

 僕について言えば、これは意識的というより習慣ですが、テレビは一切観ません。インターネットでニュースを見るということもありません。ニュースはラジオ(営業車で移動中に聞く)と新聞の飛ばし読みで十分。インターネットを検索するのも、こちらに明確な目的がある時だけです。これだけでも入ってくる情報量をだいぶ減らせます。

 注意と情報の間に必然的なトレードオフがある以上、ITが進歩すればするほど注意が貧困になるのもまた必然。仕事の質を低下させないためには、強い意志を持って注意のフィルターを強化するか、情報を意識的に遮断するしかない、というのが今回の結論です。それでは皆さん、情報との上手なつき合い方について、いい方法があったらどんどんTweetしてくださいね…、

 とか言っているうちはロクな仕事にならない、という話でした。

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