スーパーチームは他と何が違うのか

 2022年春、米プロバスケットボール(NBA)チームのオクラホマシティ・サンダーは58敗という惨憺たる成績でシーズンを終え、NBAの順位は最下位近くに沈んだ。ところがその後、驚くべきことが起きる。チームの成績が急に上向き始めたのだ。

 翌シーズンは40勝を挙げて、ラスベガスのスポーツベッティング市場が出していた予想を16勝以上も上回った。その翌年は57勝と躍進し、予想を12.5勝上回った。さらに1年後は68勝し、またも予想を10.5勝超えた。こうしてチームはわずか3シーズンで、リーグ底辺からトップに躍り出た。第1シードを獲得したチームとしてはNBA史上最も若いロスター(登録選手)であったにもかかわらず、NBAのチャンピオンとしてそのシーズンを終えたのだ。

 チームはどうすれば短期間のうちに成長できるのか。この問いは、バスケットボールに限らない。変化が加速する時代において、どのような集団であれ、学習し、適応し、成果を挙げるにはどうすればよいのか、という問題だ。

 過去数年にわたって、筆者は同僚とともに成功する組織の本質に関わる疑問について研究してきた。すなわち「最高のチームの行動は、どう違うのか」という疑問である。

 筆者らはその答えを導き出すために、金融や法律からヘルスケア、テクノロジーに至る幅広い業種のナレッジワーカー6000人以上を対象に調査を行った。そして、チームがどのように優先事項を設定し、意思決定を下し、協働しているかに関する詳細なデータを収集した。

 好業績チームのメンバーを特定するために、筆者らはまず回答者に自分のチームの有効性を評価してもらい、次に同じ業種の別のチームと比較した際のパフォーマンスを評価してもらった(先行研究において、自分のチームの能力をどう評価するかが実際の業績を予測する最良の因子の一つであることが明らかになっていることから、メンバーによる評価はチームのパフォーマンスを測る確かな指標となっている[注1])。両方の尺度で自分のチームを10点満点とした人を「スーパーチーム」のメンバーと認定し、彼らの行動を他の回答者と比較した。

 これらスーパーチームに見られた好業績の方程式は、驚くほど類似していた。スーパーチームには共通する3つの主要な強みがあったのだ。すなわち、(1)時間と労力、注意力をより効率的に管理することで、より多くの成果を挙げる、(2)メンバーが積極的に互いを高め合う、(3)たえず新しいスキルを身につけながら、時間とともに成長する、だ。

 NBAのサンダーは明らかに、最後の「時間とともに成長する」という強みを習得している。過去数年のうちにチームが大躍進を遂げたのは偶然ではない。それは、2008年にシアトルからオクラホマシティに本拠地を移して以来、チームを特徴づけていたパターンの一つだ。

 移転後、チームは本格的な再建に乗り出し、目先の勝利よりも長期的な成長を重視した。そして、わずか4シーズン後の2012年には、NBAファイナルに進出している。

 しかし、NBAでは成功が長続きすることはほとんどない。スター選手は年齢を重ね、報酬は膨らむ。どれほど強いチームであっても、NBAのサラリーキャップ制度(1チームが支払う契約金・年俸総額の上限規定)のためにチームの再建を迫られる。