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権限委譲できない場合に生じる3つの問題
新任マネジャーから経験豊富な経営陣まで、あらゆるリーダーは、業務を部下に委任し、上級職がなすべき大局的な仕事に時間と意識を注がなければならない。このことは自明の理である。実際、権限委譲は通常、新任のマネジャーに最初に求められるスキルの一つだ。しかし、筆者の経験と研究によれば、リーダーがチームの仕事の細部にとらわれ、それが組織を弱体化させるような事態につながっているケースはあまりにも多い。
権限委譲がうまくできないと、3つの悪い結果が生じる。
1つ目は、比較的給与の高い従業員(あなた)が、顧客や業務に近い低給与のチームメンバーに任せれば、もっとコスト効率よく、そしておそらくもっと効果的にできるはずの仕事をしているということである。
2つ目は、上司が細かいことに干渉してくること(マイクロマネジメント[注1])にチームメンバーが不満を抱くだけでなく、実質的な責任が与えられないために彼らが成長せず、リーダー育成パイプラインが損なわれる可能性が高くなることだ。
3つ目は、リーダーが以前の業務から抜け出せず、重要な戦略立案、部門横断的なネットワーキング、人材管理、自己啓発など、組織の競争優位性を維持するためにリーダーがすべき仕事に集中できないことである。リーダーの仕事の中でも極めて重要なこれらの分野で成果を挙げられなければ、さらに昇進できる可能性はほぼ間違いなく狭まるだけでなく、現在の役職で成功する可能性も見込めないだろう。
たとえば、同社のCTO(最高技術責任者)から昇格した、あるCEOを例に挙げよう。就任からしばらくしてもなお、自社のアプリのユーザー体験の改善について、古巣のエンジニアリングチームに細かい指示を出し続けていた。彼よりも最新の利用データに詳しくなった後任のCTOは、しばしばCEOの指示を押し返さなければならず、皆の時間が無駄に使われた(問題1)。
また、より本質に関わるバックエンドの不具合よりも先にランディングページの軽微な問題の解決を求めるなど、ソフトウェアエンジニアの業務の優先順位をみずから決定し続け、チームの不満を募らせた(問題2)。
さらに、そうしたことを続けているために、彼は自身の新しい役割、つまり社内への戦略の周知や、新しいリーダーシップチームとの会合およびその育成に十分な時間を取れず、その結果、CEOの継続的な関与を得られない経営陣は、優先課題を適切に決定することができなかった(問題3)。
筆者が関わるリーダーの多くは、権限委譲の必要性を理解しているものの、みずから行うべき仕事と部下に委ねるべき仕事とを必ずしも区別できていない。仮に正しく判断できたとしても、行動できないことが多い。



