入社1年目から誰もが大きな裁量権を持つ

編集部(以下色文字):プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)には、「Day1」と呼ばれる、入社や配属の初日から社員に大きな裁量権を与えるカルチャーがあるそうですね。経験の浅い若手に仕事を任せるリスクを避ける企業が一般的な中で、なぜこうした文化を重視されてきたのですか。

木葉(以下略):私たちは昔から「人材こそが最も重要な経営資産」だという信念を持ってきました。1947年に、当時のCEOリチャード・デュープリーが「たとえ、我々の持っているお金、建物、ブランドがなくなっても、社員さえいれば10年ですべてを元通りに再建できる」という言葉を残しているように、私自身もそう考えています。

 近年は経験者採用も増えていますが、外資系企業としては珍しく内部昇進制を人事戦略の柱としており、新卒・経験者採用を問わず、将来のリーダーは社内で育成するという考え方を大切にしています。

 では、なぜ「Day1」なのか。それは、入社直後からみずからの頭で考え、主体的に行動を起こすことで、真のリーダーシップやビジネススキルが身につくと考えているからです。これまでの実践を通しても、入社直後から大きな裁量権のあるプロジェクトを率い、みずから考え、決断する経験こそが、最も人を成長させる方法だと実感しています。

 木葉さんが新卒で入社された時、「Day1」カルチャーをどう感じましたか。

 正直、とても驚きました。就職活動中にはどの企業からも「若手社員にも裁量権を与える」と言われましたが、「実際はそうではないだろう」と思って入社したところ、本当にいきなり大きな仕事を任せられたからです。

 入社したばかりで参加した会議でも、急に「木葉さんはどう思いますか」と意見を求められたことがありました。私は学生時代まで、年功序列の日本的な社会で育ってきたため、「自分のような若手の意見に価値があるのだろうか」という思いもありました。ただ、促されるまま発言してみると、それが会議の結論に対する一つの貢献になっていたのです。そうした経験を通じて、意見があっても発言しなければ意見がないのと同じだから、発言していこうと考えるようになりました。

 1年目からは、どのような仕事を任されたのですか。