マーティンは第1回の記事「なぜCEOは戦略づくりが下手なのか」で、戦略策定では「どこで戦うか」「どのようにして勝つか」の2点が最重要事項であると述べている。今回はこれを補完する5つの問いを提示し、引き続き戦略策定のプロセスを論じる。
戦略策定のプロセスは、ともすれば見当違いなものになりがちである。たとえば、さまざまなツール――SWOT分析、顧客分析、競合分析、財務モデルなど――ばかりを重視し過ぎる場合がある。また、戦略と戦術を区別しようとして、広範で、概念的で、未来志向で、大局的なこと(ビッグピクチャー)ばかりに囚われてしまう人もいる。さらに、戦略とは方向性を変える時にのみ必要なものだと考えてしまう人もいる。
実際には、戦略とは上記のすべてがある程度当てはまるものだ。分析だけでも、ビッグピクチャーだけでも、方向性の転換だけでも、満足のいく戦略はできない。これらすべてに少しずつ取り組む必要がある。
これは、実はそれほど難しいことではない。私が好む戦略策定の方法は、5つの相互に関連する問いに対して答えを考えることだ。以下に示す第1~第5の問いは、論理的につながるように構成されている。
1. 自社の大局的な 願望は何か。進捗度合いを測れる、具体的な目標は何か。
2. 自社にとっての潜在的なターゲット市場・分野において、どこで戦い、どこで戦わないことを選ぶか。
3. 選んだ分野のなかで、どのようにして競合に打ち勝つか。
4. その方法で競合に勝つためには、どのような能力を築き、維持する必要があるか。
5. その能力を築き、維持するためには、どのような管理システムが必要か。