組織にとって、リーダーシップの必要性は疑うべくもない。しかしリーダーの貢献のみに光が当たり、大仰に言い立てられることにゴールドスミスは異を唱える。
コーチへの質問
「チームをうまく統率できずにいます。チームのメンバーは私の指示に従おうとしません。むしろそのほうがプロジェクトの成果が上がると、私自身も思っています。どうすればいいのでしょうか」
問題は単純です。プロジェクトの成否を担うのはあなたより、むしろチームであるということを、あなたが忘れているだけです。
私は長年にわたり、経営幹部の教育やコーチングを通して数多くの優秀なリーダーたちと接してきました。特に印象に残っているのはチャーリー(仮名)というクライアントです。彼は非常に大きな進歩を遂げました――そして、私と接した時間が最も少なかったのです。
チャーリーは5万人以上の従業員を擁する事業部門のトップで、その能力は上司のCEOからも認められていました。CEOはチャーリーに、役割を広げてリーダーシップをもっと発揮し、部門横断的な協力関係を促進してほしいと望み、私にそのサポートを依頼しました。チャーリーは、このシナジー活性化の取り組みが従業員の間に浸透するよう尽力しました。やがて1人ひとりが、部門を超えて同僚と協力関係を築くことをみずからの責務とするまでになりました。従業員たちは定期的に成果を報告し合い、学び合い、学んだことを共有するようになりました。寄せられたアイデアや提案に感謝し、それらが効果的に実施されるようにフォローしました。