2012年にゲマワットとアルトマンは、各国や各地域がどの程度「世界とつながっているか」を示す包括的な調査結果を発表した。140カ国のランキングに目を通してみると、1位はオランダで日本は42位である。各種ランキングやデータに目を通すだけでも、グローバル化の傾向がわかり興味深い。


「2012年度版DHLグローバル連結性指標」(GCI)とは世界のGDPの99%、世界の人口の95%を占める140カ国における、貿易、資本、情報、人の流動のレベルを調査したものである。データは2005~2011年の期間を対象とし、金融危機の発生以降グローバル化が世界的、地域的、国家的なレベルでいかに進展してきたかを図表とともに示している。報告書一式は無料でダウンロードできるが(PDF資料はこちら。DHL日本法人によるプレスリリースはこちら)、最も印象深い発見をここにいくつか列挙しておこう。

●国際的な連結性は2007~2009年の金融危機の期間に急激に低下し、その後やや盛り返したが、依然として2007年のピークまでには回復していない。 資本市場は分断されており、商品貿易は2009年以降に力強く回復したものの、サービス貿易は依然として停滞している。我々は、4つの大分類における10項目の国際的な流動について傾向を比較している――貿易(商品貿易、サービス貿易)、資本(海外直接投資、株式)、情報(インターネット回線容量、電話通話、刊行物の取引)、および人(旅行、留学、移住)である。

●国際的なつながりが最も強い国(オランダ)は、最も孤立している国(ブルンジ)より数百倍も連結性がある。 報告では140カ国のランキングを提示し、連結性のレベルが各国の経済、人口、地理などの要因によっていかに異なるかを説明している。また、地域レベルでの連結性のパターンについても要約している。ヨーロッパは世界で最も国際的なつながりが強い地域であり、サハラ以南のアフリカは最も弱い地域である。しかし2010~2011年には、サハラ以南のアフリカ諸国におけるGCIの平均値は他の地域を抑え最大の伸びを示している。これは有望な材料である。

●各国の国際的なつながりのレベルは、その国内政策と対外政策の双方に影響される。 国内のビジネス環境を改善することは、その国の国際関係の強化に非常に効果的である。我々は、連結性の度合いのほぼ8割を説明しうる、一連の構造的要因と政策要因を特定した。

●グローバル化のレベルとパターンは、業界によって大きく異なる。これは、「あらゆるビジネスにおいて国際的な統合が加速している」という一般通念とは相反する事実である。 我々は20の業界における国際的な連結性の深さと広がりを比較し、次に製薬業界、自動車業界(乗用車) 、携帯電話業界の3つを堀り下げてケーススタディとしている。また、これら3つの業界について、生産と消費の推移を先進国と発展途上国で比較している。これは世界経済の重心が途上国へと移ることで、業界の連結性がいかに変化しているかを説明するものだ。