済んだことは悔やまず、軌道修正することを恐れるな
意思決定の早さでも知られる出口氏には、早速多くの質問が投げかけられました。
難しい意思決定はないのか、という問いに対しては、「ルールがあるならば、それに従ってどちらが得か考えればいいだけですから、ビジネスの意思決定ほど簡単なことはないと思います」という回答。
選択したことへの後悔や、意思決定を誤った時にどうすればよいか、というだれもが感じたことがあるだろう質問については、一長一短のものを比べているのであれば、本来はほとんど差がないものだから、直感で選べばいい。間違っていたら素直にごめんなさい、と言って軌道修正をすればいい、と明快な答え。「人生を無駄にしたければ、愚痴を言う、済んだことを悔やむ、人によく思われたいと思う、という3つのことをすればいい」という言葉を気に入っているという出口氏は、済んだことを悔やむのは時間の無駄とばっさり。間違った選択をしても、軌道修正すればいいという答えについては、「ボーイフレンドが2人いて、片方を選んで一緒に住み始めたが毎日怒られるとしたら、どうしますか」と逆に質問を返されました。質問者の「もう一方を選びます」という答えに、「それと同じことです」と出口氏が応じると会場からは笑いが巻き起こりました。
質疑が続くなか、意思決定には不必要に感情を交えてもいけないと指摘されました。たとえば従業員を解雇しなければならないケースがあったとしても、きちんと話して向き合い、納得してもらうしかないのです。本当のことを話せば6割の人はついてきてくれます。2割はそれに従い、2割はそっぽを向くことでしょう。でも、2割で済んでいれば大成功だと喜ぶべきことなのです、とリーダーの心得についても披露されました。
最後に投げかけられた「マネジメントで気をつけていることは何か」という質問には、「マネジメントする側にとっては、人のプライドが一番厄介な問題です。人に対して公平公正に時間を使い、均等に仕事を割り振って、大事にすることが肝要です」と答えられました。参加者ほぼ全員が質問をする、というとても活気に満ちたひと時となり、参加者からも大変多くの満足の声をいただくことができました。
会終了後、2度目となる懇親会を開催いたしました。これまでも多くのご要望をいただいておりましたが、今回は参加者の9割の方がご参加くださいました。出口氏とディスカッションの時間を埋めるかのように議論を交わされる方、参加者同士で熱い思いを語り合う方など、熱心に交流される姿が印象的な会となりました。どんな問いにも即答される出口氏に、社会問題や国際問題について質問が投げかけられると、全員が興味津々にその答えに聞き入りました。最後は全員で記念撮影をして盛会のうちに終了となりました。
今回は多数の著書や講演でも高名な出口氏の話が聴ける機会とあって、出口様ファンの方が多くいらっしゃいました。出口氏も講演前より積極的に参加者の方と挨拶を交わされ、非常に温かく、そしてリッチなひと時となりました。
ご多忙のなかご登壇くださり、懇親会にもご出席いただきました出口様、ならびにご参加いただいた皆様に深く御礼申し上げます。