2.人生のあらゆるカテゴリーで、自分にとっての成功を定義する
 何が自身の成功となるのかを、個々人が自分なりに定義する必要がある。男性であれ女性であれ、成功の定義は人によってまったく違う。この世を去る時に「いい人生だった」と言えるのは、本人だけだ。そして同じく重要なのが、ある人にとって成功を意味するものが、他者に当てはまるとは限らないと認識することだ。

 オンライン調査のソフトウェアを提供するクアルトリクスの共同創業者、ライアン・スミスは、次のような方法で成功を収めてきたという。「毎週、私は人生のカテゴリーを吟味します。父親、夫、CEO、自分自身――それぞれの領域で、どのような行動を取れば、その役割を十分に果たしていると感じられるか、成功していると思えるかを確認するのです。この毎週の儀式によって、私は自分や周囲の人々のニーズに全力で取り組んでいるという感覚を持てるようになります。これは大事なことです。ビジネス上の課題を見失うわけにはいかないし、家族のために必要なことを見失えばどんな結果を招くかは、誰もが見聞きしている通りです」。スミスはまた、あなた自身の優先事項や成功についての考えを、人生における大切な人たちと共有することを提案している。そうすれば貴重な視点を得られるばかりか、仕事と人生の成功に手を貸してもらえるかもしれない。

3.仕事に振り回されないよう、コントロールを維持する
 研究者によれば、人は自分の力ではどうにもならないと感じる時に、強いストレスを抱えるという。だから、自分のキャリアをコントロールしよう。それには、あなた自身の歴史、モチベーション、嗜好、先入観を明らかにすることだ。たとえば、長時間働くことを楽しんでいる人たちがいる。自分のやっていることが大好きだからだ。この場合には、長時間労働は必ずしも負担になっていない。誰もが自分に「フィット」する仕事を見つけるために時間をかけるべきである。

 また、できるだけ自身の境界線を設定しなくてはならない。長時間働いている優れた経営者の多くは、仕事に関して基準と制限を設けているようだ。スターウッドホテル&リゾートのCEOであるフリッツ・バン・パーシャンは、最近のウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューでこう語った。「仕事に没頭しすぎて他に何もない、という事態を避けることが大事です。身体と心をいたわり、家族との時間を設け、充電できる活動をすること――これらによって、結局は生産性が高まるのです」。さらに、仕事の方向性と意義をもっと能動的に見出さなくてはならない。

 最後に、コラムニストのアナ・クィンドレンの言葉を紹介しよう。「あなたの成功が、自分で定義した成功には合っていないのなら――そして世間からは立派と思われても、あなた自身が心から満足できないとしたら、それはまったく成功ではない」


HBR.ORG原文:Work-Life "Balance" Isn't the Point June 4, 2013

リーダーシップとは自分の生きたいように生きること
モチベーションは自分の「物語」から生まれる
VUCA世界の容赦ないプレッシャーからリーダーが自分の身を守るには

 

クリスティーン・M・リアダン(Christine M. Riordan)
ケンタッキー大学の学長および経営学教授。専門はダイバーシティ、リーダーシップ、キャリア開発。