経営者の真の仕事とは何か
ピーター F. ドラッカー(Peter F. Drucker)
マネジャーの職務:その神話との事実の隔たり
ヘンリー・ミンツバーグ(Henry Mintzberg)
マネジャーとリーダーの違い
アブラハム・ザレズニック(Abraham Zaleznik)
組織志向マネジャーの条件
デイビッド C. マクレランド(David C. McClelland)
デイビッド H. バーナム(David H. Burnham)
ピグマリオン・マネジメント
J. スターリング・リビングストン(J.Sterling Livingston)
上司をマネジメントする
ジョン J. ガバロ(John J. Gabarro)
ジョン P. コッター(John P. Kotter)
評価するのではなく、理解力をもって聴く
カール R. ロジャーズ(Carl R. Rogers)
フリッツ J. レスリスバーガー(Fritz J. Roethlisberger)
モチベーションとは何か
フレデリック・ハーズバーグ(Frederick Herzberg)
組織学習を妨げる防衛的思考
クリス・アージリス(Chris Argyris)
成功する組織改革はボトムアップである
マイケル・ビーア(Michael Beer)
ラッセル A. アイゼンスタット(Russell A. Eisenstat)
バート・スペクター(Bert Spector)
高業績チームのマネジメント
ジョン R. カッツェンバック(Jon R. Katzenbach)
ダグラス K. スミス(Douglas K. Smith)
ビジネスプロセス・リエンジニアリング
マイケル・ハマー(Michael Hammer)
株式非公開化のメリットを生かす
マイケル C. ジェンセン(Michael C. Jensen)
バランス・スコアカード
ロバート S. キャプラン(Robert S. Kaplan)
デイビット P. ノートン(David P. Norton)
オプション理論が経営の柔軟性を高める
アビナッシュ K. ディキシット(Avinash K. Dixit)
ロバート S. ピンディック(Robert S. Pindyck)

【HBR名著論文30選】は、1996年以前にHBRに発表された論文のなかから、掲載頻度、リプリントの販売数、評価などを参考にDHBR編集部独自に選出しています。

経営者の真の仕事とは何か
Managing for Business Effectiveness(1963)

経営者の「職務」とは何か、経営者の職務における「主要な問題」は何か、問題の本質を分析するための「原則」は何か。

ピーター F. ドラッカー(Peter F. Drucker)
元クレアモント大学院大学 教授

経営者の責任とは何か

 経営者の第1の務め、そして果てなく続く責任とは何だろうか。それは、現在使用している資源、あるいは保有している資源から、最善の経済的成果を引き出すために、日々邁進することである。

 経営者の周りには膨大なデータや報告書があふれているにもかかわらず、実際に得られるのは、つかみどころのない一般論ばかりである。だからこそ「私が勤める会社において、業績と成果を本質的に決定づけている要素は何か」という問いに、その答えとして「低コスト」「高い利益率」といった決まりの文句が無造作に口にされる。

 業績志向のマネジメントは、売り手市場という好況期の間でさえ、たえざる徒労感を生じさせる源となりがちである。また、好況期が去り、市場競争が再び激化すれば、業績志向のマネジメントは多大な混乱やプレッシャー、不安感を引き起こすため、企業の将来はもとより、短期的な成果についてですら正しい決定を下すことはまず無理だろう。

 我々に必要なのは、経営者の「職務」とは何か、経営者の職務における「主要な問題」は何か、この問題の本質を明らかにし、分析するための「原則」は何か、これら3つの問いに答えると同時に、職務を組織化することを容易にし、かつ大局的にして実際的な指針なのだ。

 まず、「職務」についてだが、それは、企業の資源と労力を、有意義な経済的成果につながる「機会」に適切に配分することである。しかし、明らかに、時間、労力、関心、資金の大部分は、機会ではなく「問題」に向けられている。