デジタルがあらゆる場面で活用される時代の到来

 過去100年以上にわたり、ゼネラル・エレクトリック(GE)は収益の大半を産業用機器の販売と修理サービスから上げていた。しかし近年になって、これまで競合相手ではなかった企業──たとえばIBMやSAP、あるいはビッグデータ分野の新興企業──に最重要顧客の多くを奪われかねない事態に直面した。

 これらの新たな競合企業は、顧客に対する価値提案の変革を狙っていた。つまり信頼性の高い産業用機器を提供することから、それらの機器がもたらすデータに基づいた高度なアナリティクスやアルゴリズムによって、効率性やその他のメリットを実現することへと、価値の内容を変えようとしていたのだ。この流れのなかで、機器プロバイダーとしてのGEの役割は陳腐化するおそれがあった。

 そこでGEは2011年に、同社が提唱する「インダストリアル・インターネット」に焦点を当てる数十億ドル規模の新しい構想を打ち立てた。いまでは同社の製品にはデジタル・センサーが搭載され、クラウド・ベースの共通ソフトウェア・プラットフォームと結びつけられている。また、最新のソフトウェア開発能力への投資、先進的な分析能力の構築、クラウドソーシングを活用した製品開発も進んでいる。