成功するイノベーターに共通するプロセスとは

 著名なイノベーターたちに、MBA課程で教わるような伝統的な経営手法についてどう思うかと問うてみれば、強烈な反応が返って来るだろう。ペイパル、テスラ、スペースXの共同創業者であるイーロン・マスクの答えはこうだ。「私の会社では『MBAを取得しているから採用する』ということはありません。『MBAを取得しているけれども採用する』というスタンスです」。インテュイット共同創業者のスコット・クックの答えはこうだ。「MBA保有者が入社したら根本的に教育し直します。彼らが学んできたことは、イノベーションの世界では何の役にも立たないので」

 何の役にも立たないとは、いったいどういうことなのだろう。

 我々は、革新的な新商品を次々に発売、ないし新市場に進出して株価に大幅なプレミアムを上乗せしている企業を特定する作業の一環で、この問題を5年以上かけて調査している。その中で、これらの企業が成功しているのは大胆な賭けに勝利しているからではなく、信頼性が高くリスクの低い商品を市場に投入するプロセスを持っているからだということがわかった。