コンテンツ消費に今後も対価が支払われるのだろうか――。昨今、メディアの存在意義を問うような議論がされ始めている。たしかに、インターネットの発達によってコンテンツを流通・再生産する時の限界費用は限りなくゼロに近づいている。また、グーグルやヤフー、ツイッターやフェイスブックを眺めれば、新聞や雑誌に限らず、世界中の人々から発信されるコンテンツを無料で見ることができる。既存のメディア産業にはビジネスの根幹を揺るがすような事態が起きているのだ。はたして、人はコンテンツにお金を払い続けるのだろうか。メディアのビジネスモデルを考えることから、この本質的な問いの答えを探る。

メディアとコンテンツの機能を見直す

 インターネットの発達によって、メディアがコンテンツを流通・再生産する際の限界費用はゼロに近づいている。わざわざ新聞や雑誌を購入しなくても、グーグルやヤフーで検索したり、ツイッターやフェイスブックを眺めたりすれば、そのコンテンツの多くが共有(シェア)されており、無料で閲覧できる。

 こうした状況によって、コンテンツ消費に対価が支払われなくなるという声が生まれている。なかには、「メディア産業は消滅する」といった極端な論調までもある。だが、メディアとコンテンツの機能を見直すことで、その見方は大きく変わってくる。