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世界中で起こっているパワーシフト
我々は皆、世界でパワーシフトが起きていることを感じ取っている。政治への抗議行動の増加、代議制度や統治制度の危機、突如現れて昔ながらの産業を打ち負かす新ビジネス──これらを皆が目にしている。しかし、ともすれば我々はこのパワーシフトの本質をやみくもに美化するか、危険なほど矮小化するかのどちらかなのだ。
一部の人は、新技術によるユートピアという浮かれた未来像を頭に描いている。人々が簡単につながるようになった結果、すぐさま民主化と繁栄がもたらされる。民間企業と官僚制度の巨人たちは打ち倒され、王冠は大衆の手に渡る。我ら大衆一人ひとりが3Dプリンターでこしらえた独自の王冠を頭に載せることになるだろう──というわけだ。また一部の人は、こんなことはすべて前にもあったと言う。実際には物事は大して変わらないのだと。ツイッターがエジプトの独裁者を打倒したと言うが、すぐに代わりの独裁者が登場しただけじゃないか。最新のシェア経済に根差した新興ビジネスについて大げさな話がされているが、最大権力を握る企業と人々はさらにその力を増しているようではないか──。
どちらの見方も間違っている。どちらの見方も議論を技術的側面という狭い範囲に押し込めてしまうため、すべてが変わる、いや変わらない、という極端な話にしかならない。現実には、はるかに面白くて複雑な変革がまさに起きつつある。そして2つの異なる力、すなわち「オールド・パワー」と「ニュー・パワー」との間で高まる緊張がこの変革の推進力となっている。