主な発見は、予測とは無謀な挑戦ではないということだ。大会の参加者は、やみくもに判断するよりもはるかに良い成績を上げていた。たとえば、スーパーボウルの勝者はどちらか、というような二者択一の予測の場合、無作為に選べば間違える確率は50%だ。ところが、最も優秀な予測者は誤答率を一貫して半減できていたのだ。「最良の予測者は、チンパンジーと神の中間にいる」とは、テトロックが私に語った言葉だ。

 さらに特筆すべきは、優秀な予測者は予測の精度を時とともに高めていったこと、そして研究者がいくつか特定の条件を加えることで精度が向上したことだ。つまり2つ目の発見は、予測能力は伸ばせるということだ。それを可能にする要因は何か。研究から得られた知見を以下にいくつか挙げよう。

●知性は予測の役に立つ
 調査サンプルとなった予測者は総じて賢いが、その中でも各種の知能テストで高得点を上げた人たちは、より正確な予測をする傾向が見られた。ただし知性の影響は、トーナメントの終盤よりも序盤のほうが大きかった。したがって、不慣れな分野で最初に予測する時は、知性が大いに役立つようだ。その後誰もがその分野に慣れてくると、知性は助けになるものの、当初ほど大きな効果を持たなくなる。

●専門知識も予測の役に立つ
 政治知識を問うテストで高得点を取った予測者ほど、予測結果が良い傾向が見られた。これは当り前だと思うかもしれないが、先述したテトロックの過去の研究を思い出してほしい。専門知識が役立つという証拠はほとんど得られなかったはずだ。当時は肩書きや資格と予測精度との間に相関性は認められなかった。しかし対象分野についての専門知識が本物であれば、予測に寄与するようだ。

●予測精度は訓練によって向上する
 大会でトップクラスの成績を上げたスーパー予測者たちは、常に他者を上回っていたが、その精度は回を重ねるごとに上がっていった。ポイントは訓練の量だと思われる。彼らはより多くの予測を行い、大会のフォーラムにも頻繁に参加していた。

●チームによる予測は常に、個人の予測に勝る
 参加者たちを無作為に分け、一部は単独で、残りはチームで予測をさせるという実験をした。ただし最近のHBR論文「いま明かされる集団思考のメカニズム」にもあるように、集団による判断には相応のミスやバイアスがつきまとう。そこでこの実験では、効果的に協力するための訓練をチームに施した。結果、チームの一員となった人たちのほうがより正確な予測をした。

 チームワークは、スーパー予測者にも有益であった。大会1年目を経て、優秀な予測者たちでチームを構成したところ、さらに精度が上がったのだ。しかも「スーパーチーム」ならではの特徴があった。他のチームは時とともにメンバーが各自の考えに執着し始め、意見が割れていったのに対し、スーパーチームは協調を深めていったのだ。