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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する本連載。10回目は、グーグルの人事責任者が書いた『ワーク・ルールズ!』を取り上げる。
グーグルの人事制度は徹底的にデジタル
グーグルの人事制度と言えば、「最高の人材を獲得する」「勤務時間の20%を自由に使える」など、一般企業とかけ離れたエピソードがいくつも並ぶ。昨年発売された『How Google Works』では、同社会長のエリック・シュミットが、「トップの仕事で人材獲得が最も重要」と紹介し大きな話題となった。
それに続き、ついに同社の人事責任者がグーグルの人事制度を余すことなく紹介した。それが本書『ワーク・ルールズ!』である。
そもそもなぜこれほどまでにグーグルは注目されるのか。それは彼らの理念、「世界中の情報を整理し、世界中の人々にアクセスできて使えるようにすること」にあると思われる。ここには、「顧客」という言葉も出てこなければ、事業についても一切触れていない。目指すべき世界観を示しているのみである。そのグーグルが世界で最高の時価総額企業となっているのだ。
同社の人事システムと言えば、データを重視しファクトベースで評価するなど、IT企業らしいデジタル技術を使った制度が有名だ。コンピュータに頼る仕組みづくりは、人間をあたかも「01」のデジタル記号に置き換えた仕組みと思われがちである。しかし、本書を読むと、それが誤解であることがよくわかる。グーグルの人事制度のカギは、人間の習性や可能性への理解の深さとさえ読み取れる。