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マネジャーが囚われる
6つの思い込み
米国では、何十年にもわたり企業業績の低落傾向が続いている。デロイト・トウシュ・トーマツによる貴重な研究成果「シフト・インデックス」によると、株式公開企業のROA(総資産利益率)の全体は1%を割り込み、1965年の約4分の1にまで低下している。市場の支配力が企業から消費者へと移り、グローバル競争が激化するのに伴い、あらゆる業界の経営者やマネジャーが、業績に関連する大きな課題に直面するようになった。
この状況を好転させるには、競争戦略の立案と実行に際して、より大きな創造性を発揮する必要がある。長期的な成功を収めるためには、競争力だけでは十分とはいえないだろう。新たな需要を創造したり、新規市場を開拓して手中に収めたりする能力が、ますます重要になっていくと考えられるのだ。
新たな市場を創造することからは、大きな恩恵が得られる。アップルとマイクロソフトの実績を比べてみよう。アップルは過去15年間、何度も市場創造に成功し、iPod、iTunes、iPhone、App Store、iPadを生み出してきた。iPodを発売した2001年から2014会計年度にかけて、同社の売上高と利益は爆発的に増大し、時価総額は75倍超にまで膨らんだ。同期間におけるマイクロソフトの状況はというと、時価総額はわずかに3%増えたにすぎず、収益はアップルの5倍前後だったものが半分ほどへと落ち込んだ。利益の80%近くはWindowsとOfficeという2つの旧来事業に依存しており、市場創造に向けて有効な手を打たなかったことによる大きな代償を支払ってきたのである。