多くの企業が優れた技術を有するが、それを市場の創造にまで結び付けることは難しい。レーヨン繊維製造会社として創立した東レは現在、航空機への採用が決まった炭素繊維、ユニクロと共同開発したヒートテックなど、高付加価値の素材を開発して注目を集めている。東レは技術を活かして、いかに市場を創造してきたのか。同社代表取締役社長の日覺昭廣氏に話を伺った。

用途を提案しなければ
素材だけで市場は創れない

編集部(以下色文字):貴社は革新的な素材を生み出し、それを事業化・商品化して新たな市場をつくり出されています。技術を市場の創造にまでうまくつなげられない企業も多い中、なぜ市場の創造へとつなげられるのでしょうか。

日覺(以下略):レーヨンから始まった東レのR&Dは、昔から革新的なものをつくる伝統が根づいています。