いまだ多くの日本企業が旧来型の慣習に囚われている。なかでも、人事面ではその傾向が顕著である。たとえば、年功主義はその典型だ。また、社員の成果を点数化して評価する仕組みは一般的だが、個人の能力を点数で測ること自体が不可能である。決められた制度によって社員を管理するのは手間もかからず、人事部門にとって都合がよい。しかし、社員の成長を促すと同時に、企業の競争力を高めるためには、それを変えなければならない。NKK、ゼネラル・エレクトリック、そして現在のLIXILグループと一貫して人事畑を歩く筆者が、人事部門のあるべき姿を説く。

「強くて、良い会社」を目指せ

 私はこれまで、NKK(現JFEスチール)、ゼネラル・エレクトリック(GE)、そして現在のLIXILグループと、一貫して人事畑を歩んできた。その経験から、会社には「強い会社」と「良い会社」があると考えている。

 強い会社とは、短期的利益を追求して競争に勝ち抜くことを至上目標とし、勝つためには何でもやる成長意欲の高い会社のことだ。また良い会社とは、集団の利を活かして自社の長期的存続を最大の目標とし、社会における存在意義を大切にする会社である。