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シャイニー・オブジェクト症候群を回避せよ
誰かの講演を聞くうちに、話し手の壮大なアイデアと自分の目下の仕事上の課題とが、突如として結びつく──こうした経験がある人は多いものだ。
たとえば、ニューロリーダーシップ・インスティテュート(脳科学を応用した人材教育を提供する)のCEO、デイビッド・ロックの話に耳を傾ければ、最新の脳神経科学の研究に開眼するだろう。ロックが紹介する研究成果の一つは、自分が他者と比較されていることに気がつくと、脳内で「脅威反応」が生じてコルチゾール濃度が急上昇し、他の情報が頭に入りにくくなるというものである。仮にあなたが自社の年間業績評価プロセスを担当しており、スタック・ランキング制度(社員を相対比較し、正規分布曲線に基づいて段階別に振り分ける人事評価制度)のたった一つの数字(最下位グループ)を導き出すことに終始しているなら、ロックの洞察に何かひらめくものがあるかもしれない。
あるいは、バージニア大学マッキンタイア商学大学院准教授のロブ・クロスの話を聞いて、自社が正式な組織図とはまったく異なる影の組織構造に基づいて動いていることがわかったとしよう。非公式のネットワークは階層構造よりもはるかに重要である。情報源が何であれ、あなたは多くの人事責任者の例に漏れず、光り輝く対象(シャイニー・オブジェクト)に思わず飛びつき、夢中で走り書きした数ページのメモと、部下に検討させようという固い決意を携えて、それを持ち帰ろうとする。