-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
事業売却の巧拙が株主価値を左右する
たいていの企業が、買収には用意周到で臨むが、売却についてはその限りではない。統計によれば、大多数の企業で事業の買収と売却の比率は3対1になっている。そして、売却において、そのやり方やタイミングを間違えている企業が少なくない。そう、高くつく過ちを犯しているのだ。
しかし、事業売却に体系的に取り組んでいる企業は、コア事業への戦略的集中を強化すると共に、株主価値をほぼ倍にしている。これは、ベイン・アンド・カンパニーの調査によって明らかになった事実である。この調査では、過去20年間で742社が実施した7315件の事業売却について分析している。その結果は、次のようにまとめられる。
1987年に平均的な企業に100ドル投資していれば、2007年末には約1000ドルの価値にあずかれていた。その際、売却巧者の企業に投資していていれば、その価値は1800ドルを超えていた──。
上手な事業売却の好例として、年商160億ドルの林産品メーカー、ウェアーハウザーの事例を紹介しよう。同社は2004年から、総額90億ドルを超える事業売却に取り組んできた。こうして調達された資金と浮いた資源によって、伝統的な製紙事業から、材木、建材および不動産開発を手がける先進企業へ生まれ変わった。この過程において、業界最高水準の利益を何度も達成している。
このような話は、ウェアーハウザーに限ったものではない。我々の経験と調査によれば、売却巧者の企業はいずれも、以下に示す4つの原則に従っている。これらはいずれも正攻法である(囲み「事業売却の4原則」を参照)。
(1)事業売却に集中的に取り組む専門チームを設置する。
(2)事業ポートフォリオ上、コア事業と位置づけられていない部門の場合、どんなに儲かる事業でも継続に固執しない。
(3)売却対象事業について周到な分離計画を立てる。