ますます強まりそうなアクティビストの活動

 2013年7月、アクティビスト(物言う投資家)のネルソン・ペルツはペプシコの会長兼CEOのインドラ・ヌーイに電話をかけ、自身が率いるトライアン・ファンド・マネジメントのペプシコ株保有額が13億ドル以上になったことを告げた後、こう要求した。モンデリーズ・インターナショナル(かつてのクラフトフーズ。ペルツが10億ドル相当の株を保有)を買収したうえで、ペプシコを飲料部門と食品部門の2つに分割するように、と。

 それ以前にペルツはクラフトにも同じような介入を行っていた。CEOのアイリーン・ローゼンフェルドに圧力をかけてキャドバリー・シュウェップスを買収させ、統合後の会社をグローバルなスナック部門(モンデリーズ)と米国の食料品部門(クラフト)に分割させたのである。しかしモンデリーズは、ネスレやユニリーバなどのグローバル大手との競争に苦戦していた。そこでペルツはペプシコを絡ませようと考えたのだ。

 大胆かつ衝撃的な提案だが、最近では特に珍しくもない。21世紀に入ると、新しいタイプの株主──いわゆるアクティビスト・ヘッジファンド──が企業と市場とのやりとりにおいて決定的な役割を果たすことが多くなった。これらアクティビストは過去の取り組みを足がかりにする。取締役の期差選任制(取締役の改選時期を全員同じにせずに一部をずらすことにより、敵対的買収者が経営の実権を握りにくくする仕組み)やポイズンピルの廃止といったガバナンスの変更に彼らは関心を持っているが、これは1990年代に始まった公務員組合年金基金による同様の取り組みを参考にしている。彼らは企業がもっと借金を増やし、株主へのリターンを増やすことを重視するが、これは1980年代の企業乗っ取り屋を思い起こさせる。実際、ペルツやカール・アイカーンなど、著名なアクティビストの中には乗っ取り屋だった者もいる。