楽しさこそ、ロボットの最大の価値

――会社設立から2年半が経過しました。ビジネスの手応えはいかがですか。

5号機の「スケルトニクス・アライブ」。兄弟機として、ドバイに販売したホワイトカラーエディションが存在する。

 スケルトニクス事業はうまくいっています。米国やシンガポール、オーストリア、中国などでもパフォーマンスを披露しましたし、ハウステンボスやドバイ首長国首相オフィスなどには実際に販売も行いました。

 気になっているのは、やはりパワードスーツです。パワードスーツ市場自体が、現状どうなのか。世界中の人々から期待されて、多くの企業が研究開発に取り組んでいますが、実用化の目処はいまだ不透明です。実際にパワードスーツを装着したことのある人がどれぐらいいるでしょうか。パワードスーツの実用化にはまだまだ時間がかかります。企業と世間との認識の差をしっかり伝えていく必要があるし、応用分野を絞って段階的に研究開発に取り組む必要があると考えています。

――スタッフは3人です。ひと・もの・かねが必要だと感じることはないですか。

 スモールビジネスを徹底してやってきましたから、いまのところは十分足りていると感じています。現在のサイズ感でしっかりとやっていって、機会があれば一気に拡大する局面も訪れると思います。国内外からさまざまなオファーも受けていますが、そのときどきの条件、社風、ビジョンによって判断していくだけです。

――ロボット・ベンチャーとして、人々のビジネスやライフスタイルをどのように変えていきたいと考えていますか。

 人々が困っている問題に関しては、幅広いロボット技術を使って、課題解決に貢献していきたい。ポイントになるのは必ずしもパワードスーツには縛られないという点です。最適な選択だと思えばフォークリフトをお勧めしますし、トラックをお勧めします。

 僕らが社会に提供してきた最も大きな価値は、スケルトニクスをはじめ、パワードスーツの楽しさだと思います。まだまだ実用化に向けては難しいと言いましたが、見ていてすごく楽しいですし、つけるとテンションが上がります。排気量の大きな車と同じように、一般の道路では持っている性能をフルに発揮できませんが、乗っていて単純に楽しい。そういった価値があることを広く知らしめていきたいですね。

(構成/堀田栄治 撮影/西出裕一)