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昨今、デザイン思考(design thinking)という言葉が流行し、イノベーションを起こす方法論として注目を浴びている。だが、一般にいわれる「デザイン思考」で本当に革新的なビジネスは生まれるのだろうか。世界的デザインファームZibaのエグゼクティブフェローであり、ビジネスデザイナーの濱口秀司氏は、本来、デザイン思考は2つに分類できるものだと言う。改善・改良のための「デザイン思考」と、イノベーションを生み出すデザイン思考はどのように違うのか。本稿では、画期的なアイデアを導くもう一つのデザイン思考が明かされる。
いわゆる「デザイン思考」から
イノベーションは生まれない
デザイン思考(design thinking)という言葉を世に広めたのは、IDEOのCEOティム・ブラウンとされている。彼はデザイン思考を「デザイナーの感性と手法を用いて、顧客価値と市場機会の創出を図るもの」と定義した。その後、イノベーションを生む思考法として広まったが、実際には、それによって我々の思い描くような、いわゆる「イノベーション」が生まれたケースは少ない。
日本でもここ数年で、IDEOのマーケティングによってデザイン思考が普及し、至るところでワークショップが開かれている。ただ、ユーザー中心デザイン(user centered design)やラピッドプロトタイピング(rapid prototyping)といったさまざまな方法論を学ぶこと自体は有意義であっても、結果としてイノベーションが生まれないケースが多い。これは本を正せば、一般的にいわれている「デザイン思考」というものが、本来はイノベーションを生むためのものでは「ない」からである。