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ペプシコは、2012年にマウロ・ポルチーニを初代最高デザイン責任者(CDO)に起用し、必要な人員とスタジオを用意した。これは同社がデザイン主導の会社に転換した分岐点ともいえる出来事だった。以来、同社はユーザー体験をベースに事業を根本から変革し、高業績を続けている。CEOのインドラ・ヌーイは、なぜデザイン思考を取り入れようとしたのか。そしてデザインをどのように経営に活かそうとしているのか。HBR編集長のアディ・イグナティウスが聞く。
何がペプシコを変えたのか
わずか数年前まで、インドラ・ヌーイがペプシコのCEOの座に留まり続けられるかどうかは未知数だった。多くの投資家にとって、当時の同社は市場シェアが落ち込むばかりの慢心した大企業に映っていた。ヌーイが製品ラインの全体的な方向性を健康志向へシフトさせたことも批判の的になり、有力アクティビスト(物言う株主)のネルソン・ペルツは事業の二分割を求めて同社の経営陣と激しく対立した。
しかし、最近のヌーイ(59歳)は自信をにじませている。9年前にトップに就任して以来、ペプシコの売上げは順調に伸びており、数年間横ばい状態だった同社の株価は再び上昇に転じている。何しろ、ペルツが自陣営の一人を同社の取締役会に送り込む代わりに「休戦」に合意したほどだ。