IT投資と企業業績に相関性はあるのだろうか。これまでさまざまな調査がなされてきたが、確たる証拠はなく、「制度やプロセス」「ITの利用段階」「コンテクスト」など、第3の変数を加味して考えるべきというのが一般的である。本稿では、「組織IQ」というコンセプトに基づき、その高低を踏まえたうえで、IT投資と業績の関係を検証する。その結論は、組織IQが高ければ、IT投資と業績は正の相関を示すが、組織IQが低いと、IT投資と業績は逆相関を招くというものだった。すなわち「IT投資のリターンは組織IQに従う」のだ。また言うまでもなく、IT投資によって組織IQが高まることはない。以上のことは、人材投資にも当てはまる。