従来の規制では求められない
新しいビジネスの躍進

 成功しているプラットフォームビジネスの多くは、自社のやり方を締め出すと思しき法規制をないがしろにしている。エアビーアンドビーやウーバー、ユーチューブといった企業を考えてみてほしい。こうした企業の創業者や経営者はおそらく自社のビジネスモデルに情熱を傾け、顧客に有益なサービスを提供しているという信念に囚われているのだろう。彼らにとって既存の規制の多くは、自分たちのイノベーションがまだ利用できなかった過去の時代の無用な遺物にすぎない。こうした世界観では、法規制を改正する必要があると考える。テクノロジーによって実現した新しい現実を反映するためである。

 法規制に抵触する企業はもしかしたら、進取の気性に富む海軍士官でコンピュータプログラマーでもあったグレース・マレー・ホッパーの格言を胸に刻んでいるのかもしれない。すなわち、「許可を待ってチャンスを逃すくらいなら、やってしまってから謝罪するほうがよい」を信条としているのだろう。

 我々はこのような掟破りの現象を「民間主導のなし崩しの規制緩和」と呼んでいるが、これはいまに始まったことではない。法規制は、イノベーションによってとかく時代遅れになりがちである。囲み「草創期のなし崩しの規制緩和」で触れたように、自動車業界や航空業界も黎明期に同じような課題に直面してきた。