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マズローの欲求階層説を拡大・発展
顧客は製品やサービスを品定めする際、自分が感じる価値の大きさと提示された価格とを比べる。マーケターはこれまで一般に、価値よりも価格の検討に多くの時間と労力を費やしてきた。価格を上げればたちどころに利益を増やせるからである。しかし、これは安易な道である。価格は概して、比較的少数の数字を操作するだけで設定でき、その分析手法や戦術は非常に進化している。
ところが、消費者が本当のところ何に価値を見出すかは、突き止めるのが容易でなく、複雑な心理が絡んでくる。機能面の価値(時間の節約やコスト削減など)にせよ、感情面の価値(不安の軽減や娯楽の提供など)にせよ、どうすればそれらを積極的に管理したり増大させたりする方法を考案できるのだろうか。製品特性や価格などの組み合わせをさまざまに変化させて需要の増減をシミュレーションする、離散選択分析のようなリサーチ手法は、便利で効果的である。
しかし、それらはあくまでも価値をめぐる既成概念、つまりマネジャーたちが評価し慣れた概念に対して、消費者がどう反応するかを探るための手法である。新しい概念を生み出すには、消費者がほかに何に価値を見出しそうかを、予想しなくてはならない。