アフリカで躍進する中国企業
異文化でのリーダーシップ

 特集5番目の論文「“世界の工場”は中国からアフリカへ」は、目端の利く企業家がいま注目し、行動を起こしているテーマです。楽観と悲観が交錯するアフリカですが、本稿に登場する中国人は「(ナイジェリアの現状は)30年前の私の故郷(中国・温州)と同じです。我々にできたのだから、ここでもできるでしょう」と言い切ります。中国企業がアフリカで躍進する理由がよく分かります。

 また、特集6番目の論文「フロンティア経済の攻略法」は、新興国でのグローバル戦略を立案する際に頭の整理をする上で最適な論文です。リスクが高いという先入観の盲点を指摘し、事実を論理的に分析し、戦略を提示しています。フロンティア経済は世界経済と相関が小さいこと、競争は意外に緩やかなこと、規制が強い分野は限定的なことなどを指摘し、地域特性に合った戦略を詳述しています。

 巻頭論文「異文化理解のリーダーシップ」は、グローバル経営を展開する企業にはとても役に立ちます。リーダーシップに関して、「トップダウン型か合議型か」「ヒエラルキー重視か平等主義か」の2軸で各国の国民性を分類し、それぞれの国の人々と仕事をする上での注意点を明かします。

 階層的な社会(例えばドイツやベルギーなど)では意思決定はボスが下し、平等主義的な文化(米国やオーストラリアなど)においてはグループの合意で決定が下される、と多くのマネジャーは考えます。しかし、世界的に見ると、「ヒエラルキーと意思決定手法は必ずしも相関しない」と筆者は書き、先入観を持って仕事をすることの失敗事例を示した上で、対処法を示し、納得感のある論考となっています。

 巻頭インタビューで登場のWHILLは創業時から世界市場を見据えた「ボーングローバル」企業で、組織と企業文化づくりがユニークです。今号では、グローバル戦略をいろいろなステージと角度から分析しました。

 最後にお知らせです。9月14日19:00に東京で、ビジネスモデル学会の特別セッション「衰退か、成長か……企業の命運を分かつもの:激論 小城武彦(日本人材機構社長)vs.平野正雄(ビジネスモデル学会会長)」が一般公開されます。詳細は申し込みサイト(http://es201709.peatix.com/)をご参照ください。DHBR定期購読者の皆様は、通常15000円のところを5000円でご参加いただけます。ご希望の方は上記サイトで「チケットを申し込む」をクリックして割引コードは「tg5287」と入力し、お支払い手続きにお進みください。

 また、同じ日時の9月14日19:00にダイヤモンド社(東京・原宿)で、アウトドアブランド、パタゴニアの米国副社長リック・リッジウェイ氏の講演「持続可能な地球環境、持続可能なビジネス」(ファシリテーターは早稲田大学教授の谷本寛治氏)を行います。詳細はhttps://goo.gl/JRgBXXをご参照ください。

 さらに同日より、米国のHarvard Business Review編集部が「マネジャーが読むべき論文」として厳選した論文集『マネジャーの教科書』が発売になります。ご購読を頂ければ幸いです。(編集長・大坪亮)