グローバル化の潮流は終わっていない

 企業リーダーは、数年前にはほぼ誰も現実化するとは思っていなかった世界に、大慌てで順応しようとしている。

「国境なき世界」という神話は音を立てて崩れた。伝統的に自由市場を支えてきた米国と英国が動揺し、中国はグローバル化の最も断固たる擁護者を自任している。2016年6月には、EU離脱をめぐる英国の国民投票がEUに衝撃を与えた。米国では大統領選挙に向けた運動が進展するにつれ、グローバル化に関する報道は否定的な論調を強めていった。

 ドナルド・トランプが米国大統領に就任した1週間後、貿易戦争への不安が高まる中、『エコノミスト』誌が「グローバル企業の退却」という特集を組み、「過去30年間で最大の事業アイデアが深刻な問題を抱え」、「規模や裁定取引(アービトラージ)の優位性が縮小している」と喝破した。前ゼネラル・エレクトリック(GE)会長兼CEOのジェフリー・イメルトは、グローバル化から現地化への自社の「大胆な方向転換」について語っている。