急増する中国のアフリカ直接投資

 ナイジェリア南西部に巨大な陶磁器工場を持つ孫建は、工場内にある低層のオフィスビルで筆者たちにお茶を勧めてくれた。中国への旅から戻ったばかりの彼は最高級の茶葉を手に入れており、それを訪問者といっしょに飲むのが、昔からの中国式のもてなしだと考えていた。

 孫は中国南東部の中規模都市、温州の出身である。4000年近く前、青磁と呼ばれる、光沢のある淡緑色の釉薬がここで発明され、温州は中国陶磁器発祥の地となった。しかし1970年代、この地は不況に見舞われる。孫は中学校を中退して働き始めた。毛沢東の死去から2年後の1978年、中国初の民間企業が温州に設立された。孫はいくつかの皮革加工工場で働きながらお金を貯め、ついにみずから皮革製造事業に乗り出した。だが、2000年代後半になるとコストが驚くほど跳ね上がり、彼は中国から出ることを決意する。友人に「考えてみたらどうか」と言われたのがナイジェリアだった。

 5日間、同国を訪問してみた。「みんな貧しく、すぐにお金を無心してきました」と、彼は筆者に語った。「でも、お金持ちもたくさんいることに気づいたのです。この市場で成功するのは難しいけれど、それは私だけでなく誰にとっても同じだということも」