世界で戦うことだけは
最初から決めていた

 テラモーターズは、2010年4月、電動(EV)バイク、電動三輪車のメーカーとして創業した。その後、2014年秋のベトナム進出を手始めに、インドやバングラデシュでの販売も開始し、現在はアジアを中心としたグローバル展開を本格化している。それまで3億円前後で推移していた売上げも、2015年には30億円に拡大できた。

 筆者は、日本の大学を卒業して保険会社で働いていたが、29歳で退職した。その後、米国でMBAを取得し、ITベンチャーの立ち上げなどコンサルティングの仕事に従事しながら、5年ほどシリコンバレーで過ごしたのち、起業するために日本に戻ってきた。

 帰国してからの3年間は、「どんな事業を始めようか」と考え続けていたが、その時からすでに、自分でやるならグローバルに勝負でき、かつイノベーティブな事業を起こそうとだけは決めていた。学生時代、筆者が初めて米国を訪れた時、ソニーやホンダのロゴを至る所で目にした。日本企業が世界を席巻する様子を見て純粋な憧れを持っていたし、そうではなくなってしまった現状を憂いていたことも、そのように決断した理由である。