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適応のリーダーシップが求められている
ジャック・プリチャードは、長生きのためには生活習慣を変えなければならなかった。心臓外科医は、3回のバイパス手術と投薬を施してくれるそうだが、さりとて、生活習慣をみずから変えなければならないという、プリチャードに課せられた重荷が軽くなるわけではない。
彼は禁煙し、ダイエットと運動を始め、リラックスする時間をつくり、そしていつもゆっくりと深呼吸することを心がけなければならなかった。医者も専門的な支援をしてくれた。とはいえ、健康を回復し、それを維持していくために、長年の悪しき習慣を改め、新しい生活に適応していくことはプリチャード自身の問題である。
主治医はこれまでの行動様式を改めるように勧めた。プリチャードは、日常生活を変え、これまでとは異なる生活への適応に挑戦していかなければならなかった。主治医とプリチャードが目下抱えているような課題に挑戦しなければならないという点で、企業にも同じことがいえる。
企業はいま、「適応への挑戦」に直面している。すなわち、社会、市場、顧客、競合他社、技術などの変化に合わせて、組織の価値観を明らかにし、新しい戦略を編み出し、新しいマネジメントを学習することが求められているのだ。
したがって、リーダーは何らかの変化を起こさなければならないが、そのためにはやっかいな仕事を背負うことになる。それは、みんなが適応に挑戦するように仕向けることである。
それまで信じて疑わなかったことを変えなければならない時、これまで成功を導いてきた価値観が適切ではなくなった時、そして競争が避けられない状況が現れた時、これらに適応していかなければならない。
リストラクチャリングやリエンジニアリングに踏み切る時、何らかの戦略を立案し実行に移していく時、あるいは買収する時など、職場のさまざまなレベルで適応への挑戦が見られる。
また、マーケティングが思うようにいかない時、クロス・ファンクショナル・チームがうまく機能しない時、あるいは経営陣が「我々の動きはあまり効率的ではない」と不満を述べる時でも、適応への挑戦に直面する。