SWOT分析の提唱者として「企業戦略の父」と呼ばれるアンドルーズは1989年(当時のアメリカは、金融や軍需、行政への不信感が広がっていた)、企業倫理を説いた書籍の編纂を担当し、その序文のなかで、株主価値や利潤の極大化だけが企業の存在理由ではないと警告した。本稿はその序文を推敲したものだが、アンドルーズはだれもが企業組織に身を置くと、道徳心が失われやすいため、組織としてその維持・向上に努めなければならないと説く。それは、倫理綱領を策定し、経営陣が範を垂れるだけでは十分でなく、企業戦略において具体的に反映されなければならないと訴える。