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昨年から今年にかけて、多くの経営者からサプライチェーン改革をしたいという相談が増えているが、従来と異なる視点が求められていると実感している。高速で変わるビジネスプランおよび製品・サービスライフサイクルに対応しつつ、「デジタル」が可能にするイノベーションをふんだんに取り入れたサプライチェーンをデザインしたい、このように考える企業が非常に多い。しかしイノベーションを取り入れようとすると投資は自然と大きくなり、この投資を高速のビジネス変化のなかで回収していくというのは、従来型のサプライチェーン検討のアプローチでは背反する命題に一見思えてしまう。これまでとは発想を変えたサプライチェーン検討のアプローチが必要だと考えるが、アクセンチュア・ストラテジーではこれを「デジタルサプライネットワーク」というコンセプトで提唱している。本稿ではこのコンセプトが意図するところを概説する。従来その名の通りサプライチェーンといえば左から右に機能が並ぶ線形の一直線でデザインされ、その「あるべき状態(TO-Be像)は何か?」を検討してきた。これに対して「デジタルサプライネットワーク」では供給に関わる機能同士が直接つながるクモの巣状の「ネットワーク性能」をどう高めるかを検討するものである。
サプライチェーンの進化に影響を与えるビジネスの変化
サプライチェーン改革は時代とともに図1のように追い求めるテーマが移り変わってきた。主なところは下記のようなテーマであったろう。
1.一気通貫サプライチェーン(上流から下流までをつないで見える化する)
2.製品横串サプライチェーン(製品またぎでサプライチェーンをまとめ、しかしコストは製品ごとに見える化する)
3.Speed to Marketサプライチェーン(新興国に素早く兵站を伸ばすために、バックエンドは徹底的に集約・標準化する)
4.オムニチャネルサプライチェーン (消費者に届くまでのバリエーションを増やす)

出所:アクセンチュア
そのうえで、ここから5年はこれまでとはまったく違う視点を持ってサプライチェーンの進化を考える必要があると感じている。それは下記のようなビジネスの変化を背景にしている。
A)供給する対象は「モノ」でなく「コト」である
B)短サイクルでサプライチェーンのモデルチェンジを求められる
C)コストを大きく変える革新的技術が現れる
D)サプライチェーンに関わるプレーヤーの生態系が大きく変わる
E)国内(先進国)における労働力の不足