サプライチェーンを形成する生態系が大きく変化した
C)コストを大きく変える革新的技術が現れる(図3)
サプライチェーンの構造ごと見直しを迫るレベルでコストパラメーターに影響を与える技術が次々に実用化される。サプライチェーンに長年携わってきた人間にとってRFIDは登場からコストベースに合うレベルの一般的普及まで10年以上かかっているが、これに対して騒がれ始めてから5年満たない3Dプリンタ、ロボティクスははるかに速いスピードでサプライチェーンの構造レベルにインパクトを与えている。

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出所:アクセンチュア
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たとえばアディダス社の事例(図4)は生産工場へのロボティクス導入により、生産機能をドイツ本国に回帰させたということであるが、このような大きなレベルのコスト構造変化は、ロボティクスに限らず自動運転、ブロックチェーンなどの実用化によって今後5年から10年の間に多数もたらされてくるものと考えられている。

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D) サプライチェーンに関わるプレーヤーの生態系が大きく変わる
ECプレーヤーの物流業化、ブロックチェーン技術のサプライチェーンへの転用、ラストワンマイルに登場するクラウド物流などすでに顕在化している変化は、多くのプレーヤーにとって、物理・情報の両面で内製・外製、持つ・持たないという議論が意味をなくし、他者を自社のサプライチェーンを形成するエコシステムにプラグイン・アウトさせて適応し続けることが求められる。
E)国内(先進国)における労働力の不足
日本を含めた多くの先進国では特に、EC宅配などの発達で流通する物量が大きく伸びている一方で、それを支える物流業に携わる労働力の絶対数は減り、これまでになくビジネスが求めるサービスレベル・期待コストに対する実際の乖離は大きくなっている。