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企業文化こそ
変革の推進力
大手医療保険会社のエトナは、2000年代初め、あらゆる分野で悪戦苦闘していた。表面的には収益は好調を保っていたが、加入者や医師との信頼関係は急速に崩れつつあった。そのうえ、エトナは訴訟を抱えていたほか、同社が守ろうとしていた医療機関やマネージド・ケア制度[注1]への反発が全米で広がったため、評判も大きく傷つきつつあった。
おまけに、面倒な業務プロセスと多大な間接費、そして無分別な企業買収が仇となって、1日当たりの損失がおよそ100万ドルに上るありさまだった。
エトナが直面した問題の多くは、社風、とりわけ、150年の歴史を強く称える風潮に根差していた。かつて社内で「慈愛深いエトナ」として広く浸透していた社風のせいで、従業員たちは会社への忠誠心を強める一方で、リスクを避け、そこそこの出来でかまわないと考え、社外の意見には懐疑的になった。