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老舗旅館に訪れた倒産の危機
元湯陣屋は1918年に創業し、今年(2018年)で100周年を迎える。私たち夫婦は2009年、主人の実家である、この旅館の経営を引き継ぐこととなった。
当初、夫も私も陣屋を継ぐつもりはいっさいなかった。夫は理系の大学院を卒業後、本田技術工業(ホンダ)の研究所にエンジニアとして勤めており、旅館を後継しないことは父母も納得済みだった。私も結婚するまでリース会社で働いていたが、当時は、まさか毎日着物で過ごす旅館の女将になるとは想像すらしていなかった。
人生が一変することとなったのは、父が亡くなった1年後の2009年、2人目の子どもを出産するために入院していた病院に、父の後を継いで陣屋の社長を務めていた母が訪ねてきてからのことだった。