従業員満足を追う企業が
高業績を上げる理由

 小売店やレストラン、コールセンターにホテル、そしてデイケアセンターなど、言うまでもなくこの世の中には数限りない職場がある。しかしその大半は惨めな気分になるような、もう何十年も代わり映えのしない仕事である。賃金が安く、福利厚生に乏しく、自分の将来展望がまったく見えないような仕事だ。サービスそのものの値段が安いのだから、賃金が低くても、職場環境が悪くても仕方がない、というのが世間の常識だ。

 しかし、はたしてそうだろうか。もはや、従業員を交換可能なコモディティ(商品)として扱うようなやり方では長続きしない、そう気づき始めた企業がある。ウォルマート、マクドナルド、GAP、エトナなどの大企業がそれだ。実は、この3年間で従業員の賃金を引き上げているのだ。

 ウォルマートは教育研修に力を入れ、オペレーションを円滑にして店舗で働く人たちの生産性を高めようとしている。GAPは従業員が予測しやすいスケジュールの導入を試している。そして、エトナはコールセンターの担当者が顧客ニーズに応えやすいよう、彼らの裁量権を広げようとしている。