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「47番目」の商品が支持された理由

スコット・クックがインテュイットを共同創業した1983年当時、すでに多くの企業が財務管理を支援するソフトウェアを提供していた。実際、クックが開発したクイッケンの前に、少なくとも46の類似製品が発売されていた。それで当社ではたまに、インテュイットは一番乗り(ファーストムーバー)のアドバンテージではなく「47番乗りのアドバンテージ」をつかんだとジョークを言っている。
初代クイッケンは多くの競合製品の3分の1の機能しか持たなかったが、それらと大きく異なる点があった。デザインがよかったのである。クイッケンはスプレッドシートのような見た目の代わりに、小切手台帳や一枚一枚の小切手という見慣れたイメージを表示した。このデザインのおかげで直感的な操作が可能だったクイッケンは、あっという間に個人向け財務管理ソフトウェアの市場リーダーになった。そして、その地位を30年間守り続けている。
ところが時が経つにつれて、私たちのフォーカスが、卓越したデザインから離れていった。私がインテュイットのCEOに就任した2008年初めには、会社はデザインをそれほど重要視していなかった。顧客が誰かにインテュイット製品を薦める一番の理由は「使いやすさ」であり、薦めない一番の理由も「使いやすさ」だということが、自社の調査で明らかになっていた。