好奇心は行動から生まれる

編集部(以下色文字):柳井さんは以前から、企業人には好奇心が大切だと語られていました。どのような問題意識があるのでしょうか。

柳井(以下略):いまの人たちは目の前のものしか見ようとせず、その周辺に何があるかが見えていません。見ようともしていない。それは、幅広い視点から物事をとらえようとする好奇心が足りないからだと思います。

 日本人が見る世界地図は日本を中心に描かれていますが、米国の地図は米国が中心にあり、日本は極東の隅っこに置かれていますよね。それなのに日本では、自分たちを中心に置いて物を見ることが当たり前とされ、そのやり方に疑いすら持ちません。将来のビジネスを考える時も、時間や距離に対する感覚が、自分の立場や範囲に囚われすぎています。たとえば人事の担当者であれば、人事の仕事しか目に入っていない。