ハイアールを成功に導いた
マネジメント手法とは何か
官僚主義は評判が芳しくない。ウォルマートのCEO、ダグ・マクミリオンは「諸悪の根源」と呼んでいる。バークシャー・ハサウェイのチャーリー・マンガー副会長は、「官僚主義の影響はがんのようなものであり、それ相応に扱うべきだ」と語っている。JPモルガン・チェースのCEO、ジェイミー・ダイモンも、官僚主義は「病理」だという意見に同意する。彼らは官僚主義が自発性を奪い、リスク回避につながり、創造性の芽を摘むことを理解しているのだ。つまり、人間が成果を上げるうえでの足かせだというわけである。
多くの人は弊害に気づきながらも、官僚主義は避けようのないものだと考えている。ダイモンは、ある社外アドバイザーが官僚主義を「複雑な国際環境や規制環境の下で事業を運営する以上、必然的に取り入れざるをえないもの」と擁護したと回想している。実際、米国では1983年以降、マネジャー、監督者、責任者の数が100%超の伸びを示す一方、それ以外の職位の人数は44%しか増えていない。
『ハーバード・ビジネス・レビュー』の調査によると、回答者の3分の2近くが「自分の所属組織は、ここ数年でいっそう官僚主義の傾向を強めた」としている。ピーター・ドラッカーの予測によれば、今日では1980年代末と比べて組織階層は半分に、マネジャー数は3分の1になっているはずだが、現実はこの予測と大きくかけ離れている。官僚主義は以前よりも幅を利かせているのだ。